冷罨法・温罨法の適応・使い分けについて皆さんは理解できていますか?
疾患によれば禁忌もありますし痛みがあるからとりあえず冷やせばいいというわけではありません。看護師として罨法の知識についてはしっかりと理解する必要がありますし場合に応じて使い分ける必要があります。
冷罨法・温罨法は看護師国家試験によく出題されますし、臨床でもよくする看護です。
それぞれ違いがありますし今回は冷罨法・温罨法について掘り下げ、目的や効果・適応について解説していこうと思います。
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冷罨法
冷罨法とは局所または全身に寒冷刺激を与える方法で、氷枕やアイスノン、冷シップなどを用います。これによって、血管を収縮させ血流を減少させたり組織細胞の活性を低下させ体温を加工させることができます。
部位
クーリングを行う部位は後頭部や鼠径部、腋窩、頸部、背部と言った体幹付近、また表表在性に大きな動脈のある部位や炎症部位に行います。
頸動脈・腋窩動脈・大腿動脈が走行している部分を冷却することで効率的な体温下降が期待できます。
目的
知覚神経への作用として局所疼痛を緩和させる。血管収縮や血液・リンパ液の循環抑制あら組織代謝の低下。炎症抑制。
効果
解熱効果・疼痛緩和・薬液の吸収抑制・炎症抑制・疼痛緩和による安楽や入眠促進・血管収縮による止血効果
→解熱効果を得たいときは頸動脈・液果動脈・大体動脈等の太い血管に冷罨法を実施する。
適応
・熱発生で解熱が必要であるとき
・四肢の靭帯損傷など炎症を抑制したいとき(腫脹緩和)
・安楽・入眠促進が必要なとき
・止血を要するとき
・疼痛緩和
禁忌・注意点
・循環障害のある患者
・血栓ができやすい患者(血管が収縮し血流が抑制され血栓が形成されやすくなる)
・乳幼児の場合急激な体温低下でショックを起こす可能性がある。
・低温熱傷・不快感を予防するためアイスノンを当てるときはタオルなどを挟み直接肌に当てないように注意する。
・実施前は道具に破損や汚染が無いか必ず確認しましょう。
実施中は定期的に患者さんの状態を観察して、解熱等の効果が得られているか、また発赤や蒼白などの皮膚異常はないか、悪寒戦慄が無いかも確認!
・関節のこわばりがあるときは冷罨法よりも温罨法でゆっくりと関節をほぐす方といいです。
温罨法
温罨法とは身体の一部に温熱刺激を与える治療法のこと。
目的
知覚神経の緊張や興奮を抑制し筋肉の緊張や拘縮緩和。局所への血管拡張を促して血液・リンパ液の循環促進させ細胞の新陳代謝を促進させる。
※細胞の新陳代謝を促進することで疲労物質の分解や吸収を早めることが期待できます!
効果
・疼痛緩和(平滑筋を弛緩させる作用がある)
・血管拡張作用(血液のうっ血や浮腫の軽減)
・排便促進(腸蠕動運動促進)
・保温効果
・リラクゼーション効果・入眠促進
・腰部・背部の温罨法は自然排尿を促す効果もある
適応
・便秘時の排便促進
・腰痛・関節痛の緩和
・靭帯損傷後の血流促進
・体温低下時や悪寒戦慄がある患者の保温
禁忌・注意点
・出血傾向のある患者
・消化管穿孔や閉塞がある患者
・血圧等のバイタルサインの変動が大きい患者には禁忌です
・麻痺や知覚障害のある患者には特に温度に気を使必要があり熱傷のリスクを避ける必要がある。(実施する前に自分の皮膚で温度を確認しよう)
・急性炎症(代謝が上がるため腫脹や疼痛等の炎症が増悪し治癒を遅らせる)
・悪性腫瘍(代謝が上がり腫瘍細胞の増強や転移を早めるリスクがある)
・血栓のある患者(温罨法により血流が増加し血栓が流れてしまうとそれが肺や心臓に飛ぶ恐れがあるため)
・皮膚状態を観察し低温熱傷になっていないか観察する
・発汗がある場合は脱水に注意し飲水を促す
●ゴム製湯たんぽを使用するとき(国試に出るよー)
・湯温は60度以下
・湯量は1/2~2/3程度入れる
・湯たんぽの中の空気は抜いてから栓をする(熱刺激が伝わりにくい)
・皮膚から10㎝離す
●プラスチック製・金属製湯たんぽを使用するとき
・湯温70~80度
・湯量は注入口いっぱいに入れる(最後に漏れがないか確認)
・布製のカバーをつける
・患者から10㎝以上話す
温罨法はルートキープや採血の時で使うこともあります。患者さんの中には血管の細い方もおおいので敢えて血管を拡張させて穿刺しやすくします。
乾性罨法・湿性罨法の種類について
乾性罨法と湿性罨法の違いは下記のとおりですが、乾いたものを使っているか・湿っているものを使っているかの違いです。
乾性罨法→温たんぽ、電気あんか、
湿性罨法→湿性布、カイロ、氷嚢、氷枕
こちらも国試で出る内容になりますので頭に入れておきましょう!
冷罨法・温罨法の手技について
冷罨法・温罨法についていい動画がないかな?
と調べれるとYouTubeにいい動画がありました。
手技やそれぞれの効果について説明しているので、こちらの動画も一緒にチェックしておこう!
最後に
罨法にはそれぞれ禁忌がありますし、ただただ冷やせば・温めればいいというわけではありません。
きちんと目的や禁忌を理解したうえで罨法を行いましょう。
患者の中には自分で勝手に罨法を実施する方もいるのできちんと指導できるように知識を持っておきましょう。